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MFTを行った症例のご紹介〜混合歯列期④〜

2022/01/24スタッフブログ, 舌癖ブログ

ひと口に舌突出癖 といっても、舌を前に出す場合、側面に出す場合など突出の仕方は一様ではありません。

 

乳歯から永久歯への歯の生え変わりの際に、乳歯が抜けて歯がない状態になると舌を歯の隙間に押し付ける癖が出てしまうことがあります。

 

 

 

sasaki

 

 

これにより萌出しようとする永久歯が舌の圧力の過負担により萌出しにくくなったり、開咬(部分的に歯の接触が妨げられている状態)が長引くと、その癖が長く続いてしまうので、永久歯が生えてきても舌癖が残りがちです。

 

症例でご紹介します。

 

【case 4】 初診時7歳11ヶ月  女性   叢生

河野initial

 

初診時には異常な口腔習癖は認められませんでした。

 

 

9歳6ヶ月 治療中

河野1

前歯部の整列のため一時的にブラケットを装着しています。

 

 

 

10歳9ヶ月 矯正治療開始から2年9ヶ月経過

河野3

側方歯が生えるスペースを確保するためにリップバンパーという患者さん自身で取り外しの出来る矯正装置を使用して、上顎第一大臼歯の遠心移動の治療中です。

 

左側方歯部が開咬になっているのがわかります。

唇を閉じて唾をのんでもらったところ・・・

 

河野2pdf

 

舌を前に押し付けて唾をのんでいました(異常嚥下癖)。

口腔習癖としての舌突出が最も顕著となるのは嚥下時です。

 

この患者さんの場合、嚥下時以外は舌を突出させているようなことはなく、この時は舌を動かしすぎて遊んでしまう癖(弄舌癖)もみられませんでした。

 

そこでお母様と一緒に舌癖についてのお話と舌癖トレーニングの説明をきいていただきました。

この時は正しいスポットポジションの確認とトレーニングはポッピングだけにしました。

 

舌が前に出ていなければ、歯はもっと萌出してくるでしょう。

 

 

 

 

 

1ヶ月後

側方歯部の開咬の改善はみられませんでした。

家で舌癖トレーニングをやっているか確認したところ、全くやっていなかったそうです。

舌を口蓋に吸い上げることができなかった。と教えてくれました。「やらなかった」のではなく「できなかった」のです。

再度ご本人と舌癖トレーニングのポッピングの練習を行い、舌を口蓋に吸い上げることができるようになりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

舌癖トレーニングを開始して4ヶ月経過

河野4

 

左側方歯部は永久歯が以前より萌出し、開咬も改善されています。

しかし、右側は開咬が悪くなっています。

 

 

 

 

唾をのんでもらったところ・・・

河野5

 

異常嚥下癖は改善されていませんでした。

最初は嚥下時に舌が出ましたが、ご自身で気づき舌を出すのをやめました。

ただ、スポットに舌をおいて唾をのんでいただくととても飲みにくそうにしていました。

ご本人さんに確認したところ、トレーニングは全くやっていなかったそうです。

今回は「できなかった」のではなく「やらなかった」のです。

さらにお話をきくと右側の萌出中の永久歯を舌で触っているそうです。

 

今回は舌で歯を触る癖をやめていただき、舌を正しい場所(スポット)において唾をのむことを再確認していただきました。

 

 

 

 

悪い口腔習癖はお家の方が気づきやすいものとそうでないものがあります。

指しゃぶりや口唇閉鎖不全、構音障害(発音時に舌を挟み込む癖)咬唇癖などはお家の方が気づきやすいかもしれませんが、舌突出癖や異常嚥下癖などはご本人以外わからないことがほとんどです。

 

多くの場合本人はあまり気にしていないのですが、かなり長い間この習癖の状態を続けています。
患者さんもここで言われてはじめて自覚する方がほとんどです。

 

 

そこで当院では治療に入る前に習慣化している口腔習癖の写真を撮り、本人および家族の方に行っている習癖について説明し、その影響を理解していただいています。 習慣化しているとすぐにやめることは難しいでしょうが、やめなくてはいけないことを自覚し、認識させることが重要です。

 

 

本人が自覚し、習癖をやめようと思う「気づき」がMFT(口腔筋機能療法)にはかかせません。

 

 

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